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作品鑑賞
この生き生きとした白黒の挿絵は、壮大な帆船が行き交う活気に満ちた港の様子を描いています。手前には、細部まで描き込まれた木製の波止場が広がり、20世紀初頭の服装をした人々が船団を指さしたり、樽や袋を積み込んだりと忙しく動き回っています。細やかなクロスハッチや線描によって、フランクリン・ブース独特の繊細な表現が施され、木目や帆、膨らむ雲に生命感が与えられています。帆船は力強く、帆は風を受けて張り詰め、出帆の準備が整っていることを感じさせます。海上貿易の本質を捉えつつ、過ぎ去った時代の浪漫と勤勉な精神を呼び起こす、歴史的な瞬間が描かれています。構図は人々の活動と堂々たる船のバランスを見事にとり、空に浮かぶ雲が希望と進取の気持ちを伝えています。