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ダニエルと獅子の穴

作品鑑賞

獰猛な獅子たちが取り囲む暗く重厚な洞窟の中に、中央の人物は落ち着いた様子で座っている。闇の中にわずかに差し込む光が獅子たちの牙や筋肉を照らし、天から降り注ぐような天使の柔らかな光が彼を守っているかのようだ。強い明暗対比(キアロスクーロ)が画面全体に緊張感と神秘性をもたらし、危険と神聖な守護が共存する禍々しいながらも希望に満ちたシーンを生み出している。土のような深い茶色と黒が主調で、荘厳な雰囲気と荒々しさが入り混じっている。

この作品は信仰の強さが命の危機に直面する宗教的物語を描いており、作者の力強くも繊細な筆致が肉体の緊張感や獅子の野性味を巧みに捉えている。19世紀中頃のロマン主義の影響が感じられ、ドラマ性と感情の高まりが色濃く表現されている。鑑賞者は混沌の中にある静寂と神の介入の兆しを感じ取り、この画面から力強い精神的体験を味わえる。

ダニエルと獅子の穴

ウジェーヌ・ドラクロワ

カテゴリー:

制作年:

1853

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サイズ:

2936 × 3600 px
600 × 730 mm

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