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旅行札記Ⅲ(旅みやげ第三集) 飛騨中山七里道 1924年

作品鑑賞

この冬の情景は厚い雪に覆われ、静寂で幻想的な雰囲気を漂わせています。降り積もる雪は繊細な灰色と白のグラデーションで表現され、静かな瞬間を強調しています。鮮やかな藍色の川が画面を流れ、白と灰色を基調とした色彩の中で美しい対比を作り出しています。雪をかぶった木々や谷間に佇む伝統的な家々は自然の広大さの中に人の息吹を感じさせ、寒さの中にも温もりと安らぎを想像させます。

画面構成は背景の雄大な山々と前景の村と川の親密さを見事にバランスよく配しています。雪の繊細な質感と家屋の精密な描写は冬の日常の厳しさと静けさを伝えます。木版画の特徴的な技法であるはっきりとした線と調和のとれた色彩が、シンプルながらも深みのある世界を創出し、降る雪の音や冬の静けさを感じさせる歴史的な日本の農村の一瞬を見事に捉えています。

旅行札記Ⅲ(旅みやげ第三集) 飛騨中山七里道 1924年

川瀬 巴水

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制作年:

1924

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サイズ:

3896 × 2625 px

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