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作品鑑賞
この魅力的な作品は、細長くそびえる木々が淡い空を背景に一列に並ぶ姿を描いています。濃い緑色の葉の冠は彫刻のような質感を持ち、赤褐色の幹は優雅でリズムを持って天へ伸びています。葉の密度の高いテクスチャと滑らかな空との対比が作品に深みと微妙な緊張感を与えています。下方には白い杭と黒いワイヤーでできたフェンスが、日差しを受けた草地の中に白い花を散りばめながら曲線を描き、観る者の視線を誘います。
鮮やかながらも控えめな色調が、静かな田園風景の空気感を際立たせています。縦長の木々と横に広がる風景・フェンスのバランスが、安定感と動きの両方を表現。葉がそよぐ音や遠くの田舎の穏やかな響きが聞こえてくるようです。20世紀初頭の制作で、自然の静かな強さと人間の存在の調和を映し出し、静寂で瞑想的な感情を呼び起こします。緻密な形態とやわらかなパレットが、自然のリズムと形を深く愛した画家の想いを感じさせます。