この繊細な肖像画は、鮮やかな赤の衣装に白いレースがあしらわれた幼い少年を描いています。彼の大きく暗い瞳は無垢さと好奇心に満ちており、その年齢の純真さと穏やかな立ち姿を際立たせています。右側には小さな鳥たちがいる鳥かごが置かれ、足元には黒と白の鳥がカードをくわえて立っています。背後には三匹の猫が静かに佇み、その視線は鳥に注がれており、どこか緊張感の漂う静謐な空間を生み出しています。

画家は巧みな技術で柔らかさと細部のディテールを融合させています。構図は観る者の目を少年の顔から細身の体へ、そして鳥や鳥かごへと自然に誘導し、バランスの取れた動的なリズムを作り出しています。控えめなアーストーンのパレットに鮮やかな赤と緑がアクセントを添え、親密で静かな瞬間へと視聴者を招きます。感情的には優しさとほのかな不安感が入り混じり、幼児の無垢さと動物たちの鋭い視線との対比が際立ちます。この作品は18世紀後半のもので、当時の肖像画が若さと地位を永遠に記録しようとした興味を反映しており、単純な家庭風景に潜むより深い物語が示唆されています。