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作品鑑賞
この絵は、晴れ渡る空の下、緑豊かな風景の中に佇む魅力的な城を捉えています。尖塔を備えた城は、温かみのある赤褐色の石造りで、素朴な石の壁の後ろに誇らしげに建っています。その壁は日差しを受けた道を囲み、背後には常緑樹や落葉樹がそびえ立っています。画家の象徴的な点描技法が見事に表れており、無数の小さな色点が遠目には一体化して、まるで画面が揺らめくかのような生き生きとした動きを感じさせます。
構図は、観る者を穏やかな道に誘い、自然と城の威厳ある姿へと視線を導きます。パレットは柔らかいパステル調を基調に、緑豊かな葉や石造りの温かみのある色合いがアクセントとなっています。作品からは静けさと懐かしさが伝わり、一瞬の時間が止まったかのような調和の世界を感じさせます。1887年の作品で、ポスト印象派が色彩理論と革新的な技法を駆使して感覚を表現しようとした重要な時代背景がうかがえます。