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作品鑑賞
夕暮れの静けさが伝統的な五重塔を包み込み、その重なり合う屋根は沈みゆく太陽の残光を帯びて赤みを増している。塔は堂々と中央にそびえ立ち、左右には深い緑の木々が塔を囲むように影を落とし、建物の温かみのある赤みと冷たい緑の対比が印象的だ。空は藍色から淡いクリーム色、そして柔らかなピンクの雲へとグラデーションし、昼から夜への移ろいを静かに示す。精緻な線描によって建築の細部が丁寧に表現され、各屋根が作る影が奥行きを強調する。構図は視線を塔の上空へと誘い込み、木々が左右から包み込むことで、静謐で神聖な空気を醸し出している。