この作品は、英雄的な騎士がドラゴンを打ち倒す伝説の瞬間を繊細でありながら躍動感あふれる水彩技法で描いています。騎士は黒い鎧をまとい、装飾が施された白馬に乗り、岩肌の背景の落ち着いた色合いと鮮やかな対比を成しています。ピンクの旗と赤い槍の鮮やかな色使いが画面に活気をもたらします。竜は緑色で翼が破れており、馬の足元で苦悶する姿が神話的な緊張感を伝えています。

背景には金色の衣装をまとった女王が立ち、物語の深みと目撃者の存在を加えています。光の使い方は神秘的なオーラを醸し、柔らかな光とぼかされた空が調和します。全体の構図は動と静のバランスを取り、勇気と勝利を象徴する古典的な騎士道物語を想起させます。19世紀ロマン主義の神話復興の一端を示す作品です。