この作品は、ロンドンのセントジェームズ宮殿での衛兵交代式を生き生きと描いています。鮮やかな赤い制服を着た衛兵たちが歴史的なレンガ造りの建物の中で整列しており、式典の厳粛さと華やかさが感じられます。構図は堂々たる宮殿の入口を中心に据え、両脇の塔が視線をしっかりと導き、整然とした軍隊の姿に焦点を当てています。

画家は精緻な筆致で自然主義的な技法を用い、画面の明瞭さと細部の緻密さを際立たせています。色彩は宮殿の温かみのあるレンガ色と衛兵の鮮烈な赤の制服が調和し、柔らかな雲の浮かぶ空が背景を穏やかに包み込んでいます。この色彩の対比が軍隊の規律正しさを強調しつつ、静謐でありながら生気あふれる雰囲気を生み出しています。まるで行進する足音や群衆のざわめきが聞こえてくるかのように、歴史的な儀式の臨場感を味わえます。