この印象的な肖像画は、堂々とした軍人を描いています。赤い制服に身を包み、多数の勲章を胸に飾ったその姿は、20世紀初頭の軍事的威厳とプライドを強く感じさせます。背景は控えめな色合いで、鮮やかな赤色の制服が一層際立ち、画面の中心にいる彼の存在感を高めています。彼の一方の手には白い羽飾りの帽子が握られており、その手つきや左手の指輪など細部まで丁寧に描写されている筆致は、写実的でありながらも画家の繊細な感性を反映しています。

構図は堅実にまとまりながら、やや左右非対称で視覚的に心地よいバランスを生み出しています。光の当たり方も巧妙で、勲章の輝きや制服の装飾を引き立たせ、彼の誇り高い精神と厳かな表情が見る者に深い感銘を与えます。背景のシンプルさは彼の人物像を際立たせ、歴史的背景の中での軍人の栄誉や責任感を美しく表現しています。