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作品鑑賞
活気あふれる海の活動が感じられるシーンが展開されています。霧に包まれた賑やかな波止場は活気に満ちています。前景には、煙突から煙をもうもうと立ち上らせた蒸気船が大きく描かれ、奥には、かすみの中に帆船の幽霊のような姿がぼんやりと見えます。光と影の戯れを見事に捉え、構図に奥行きと神秘性を加える、柔らかく拡散した光を作り出しています。
グレー、ブラウン、ソフトブルーが基調の落ち着いた色彩は、大気的な効果を強調しています。船乗りや港湾労働者の姿は、繊細な描写でスケール感と物語性を加えています。カモメの鳴き声やロープの軋む音、塩と石炭の煙の匂いが漂ってくるようです。蒸気と帆が共存した時代、海のロマンスと港の産業を物語る、ある瞬間のスナップショットです。