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作品鑑賞
この魅力的な木版画は、伝統的な東アジアの建築を中心に据えた静謐な冬の風景に観る者を誘い、鮮やかな紅色が白銀の雪景色と美しく対比しています。降り積もる雪の一つ一つが丹念に描かれ、松の枝に静かに積もる様子が冬の静寂と瞑想的な雰囲気を醸し出しています。構図は高さのある紅い楼閣を視線の中心に据え、曇り空に溶け込むように背景の建物が配され、凍てつく緑の木々と静かな水面が全体のバランスを取っています。白銀と深紅、そして深緑が織りなす調和が、時の一瞬の静けさを鮮やかに捉え、まるで雪の降る音や冷えた空気の感触まで伝わってくるかのようです。
この作品は浮世絵の伝統の中でも高い位置を占めており、古典的な美学と作者独自の解釈を融合しています。1940年代初期に制作されたこの作品は、当時の朝鮮文化の一端を映し出し、一瞬の自然美と人の手仕事の調和を心に刻みます。静けさの中に微かな生命力を感じさせるその魅力が、この木版画の存在をより強調しています。