ギャラリーに戻る
旅行札記Ⅰ(旅みやげ第一集)金沢 浅野川 1920

作品鑑賞

この静かな木版画は、美しい橋が穏やかな川を渡っている様子を描いています。柔らかな草地に囲まれ、夕暮れの微妙な光が空を淡いクリーム色からしだいに青色へと変化させており、日と夜の狭間の静けさが感じられます。橋の後ろには濃いシルエットの木々が立ち並び、その鋭い輪郭が穏やかな水面との対比を生み出しています。川岸では白い鳥たちが優雅に舞い、静かな景色にささやかな生き生きとした動きを添えています。構図は橋と川流れの水平線に沿って目を引きつけ、木々の垂直な形が空間に安定感と落ち着きをもたらしています。

浮世絵の伝統技法を用い、ぼかしの繊細な色彩のグラデーションで陰影を巧みに表現し、深みのある大気感を醸し出しています。抑えめな青色やアーストーンが落ち着いた瞑想的な雰囲気を演出し、自然の静謐美を強調しています。これは新版画運動に属し、自然光と遠近法に焦点を当てて浮世絵を現代的に蘇らせた作品です。大正時代の背景を持ち、伝統と新しい芸術的探求の融合が感じられ、鑑賞者に静かな自然の調和をゆっくり味わうように誘います。

旅行札記Ⅰ(旅みやげ第一集)金沢 浅野川 1920

川瀬 巴水

カテゴリー:

制作年:

1920

いいね:

0

サイズ:

4000 × 2696 px

ダウンロード:

関連作品

後志美国のセタカム岩
日本風景集 熊本 春日町 1922
春雨、方広寺 1932年
東京二十景 池上市之倉(夕陽)
旅行札記Ⅰ(旅みやげ第一集)若狭 久出の浜 1920
旅行札記Ⅲ(旅みやげ第三集)宮島星夜 1928年
水戸涸沼広浦 1946年
東京十二題 冬の月(戸山の原)
池上本門寺の塔 1928
塩原新湯の朝 - 1946年
旅行札記Ⅲ(旅みやげ第三集) 男鹿半島蒿雀窟 1928
旅行札記Ⅲ(旅みやげ第三集) 別府乃朝 1928