ギャラリーに戻る
東京二十景 千束池

作品鑑賞

この作品は静かな冬の夜、雪に覆われた湖の風景を見事に捉えています。前景の松の木々は重く雪を被り、その黒々とした幹が淡い雪の白と鮮やかに対比しています。静かに降り積もる雪は、全体に静寂と孤独感を漂わせ、遠くの湖面には繊細な光の反射が見え、ぼんやりとした対岸の樹影が幻想的な奥行きを生み出しています。

構図は前景の松の木から湖面、さらに遠景へと視線が自然に流れるように巧みに設計されており、寒色系の青や灰色の穏やかな色調が冷たくも穏やかな雰囲気を醸し出しています。空と水面のグラデーションは夢幻的な柔らかさを加え、松の枝先の繊細な描写は冬の自然美の儚さと尊さを伝えています。これは浮世絵の伝統に根ざした作品で、静かな自然の瞬間を深く味わわせてくれます。

東京二十景 千束池

川瀬 巴水

カテゴリー:

制作年:

1928

いいね:

0

サイズ:

4411 × 6522 px

ダウンロード:

関連作品

旅行札記Ⅱ 大阪 道頓堀の朝
東京二十景 御茶ノ水 1926年
旅行札記Ⅱ 越中 氷見 光照寺
旅行札記Ⅱ さぬきの高松城 1921
三菱深川別邸の図より『大泉水の全景』1920年
旅行札記Ⅲ(旅みやげ第三集)宮島星夜 1928年
東京二十景 瀧之川 1929年
信州木崎湖 1941年
秋雨後の京都 南禅寺