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ヘリオガバルスの薔薇

作品鑑賞

豪華なローマの宴が繰り広げられている。無数のピンクのバラの花びらが洪水のように溢れ、床やクッションに横たわる人々を覆い尽くしている。構図は、手前の混沌とした花びらの洪水と、奥のテーブルを囲んで穏やかにくつろぐ貴族たちの対比が見事である。画家の技巧は緻密で、一枚一枚の花びらが繊細に描かれ、柔らかな質感と重みを感じさせる。色彩は柔らかなピンクと温かみのある肌色が主体で、大理石の柱や金の装飾がアクセントとなり、豪華で贅沢な雰囲気を醸し出している。この作品は、美しさと危険が入り混じる瞬間を捉え、魅惑と不安が交錯する感情を呼び起こす。

古代ローマを舞台に、皇帝エラガバルスが豪華な宴で客人をバラの花びらで覆い尽くしたという伝説的なエピソードを描いている。歴史的な物語を超え、装飾の豊かさを讃え、享楽や死、生の劇的な一面を考察した作品である。緻密な写実と劇的な演出が融合し、観る者を歴史と幻想の狭間へと誘う魅力的な一作だ。

ヘリオガバルスの薔薇

ローレンス・アルマ=タデマ

カテゴリー:

制作年:

1888

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サイズ:

3400 × 2093 px

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