ギャラリーに戻る
冬月土俵原

作品鑑賞

冬の澄んだ月明かりに照らされたこの木版画は、月光に染まる静謐でどこか物悲しい風景を繊細に捉えています。裸木のシルエットが深い群青色の背景に浮かび上がり、その枝はまるで繊細な血管のように空に伸びています。ぼかし技法による絶妙な空のグラデーションは、まるで触れることができるかのような深みを持ち、満月が樹間に美しく収まり、柔らかな光を放っています。

地面には小さな池が月光を反射し、夜の静けさと暗い色調の中に繊細な輝きを添えています。枝の細部や湿地の質感に施された伝統的な浮世絵の技術が際立ち、見る者を静かな瞑想の世界へ誘います。冬の季節の厳しい美しさを詩的に表現し、芸術的な正確さと情緒豊かな感性が見事に融合した傑作です。

冬月土俵原

川瀬 巴水

カテゴリー:

制作年:

1931

いいね:

0

サイズ:

2124 × 3012 px

ダウンロード:

関連作品

旅行札記Ⅰ(旅みやげ第一集)
春の雪 京都清水寺
伊賀上野の白鳳城
旅行札記Ⅲ(旅みやげ第三集) 別府乃朝 1928
日本風景選集 平泉 中尊寺 金色堂(1935年)
旅行札記Ⅰ(旅みやげ第一集)しほ原 雄飛瀑布 1920
旅行札記Ⅱ 冬の嵐峡
北海道洞爺湖 1933年
ワシントン記念碑とポトマック川 1935年
旅行札記Ⅲ(旅みやげ第三集) 星月夜(宮島)1928
野火止平林寺 1952年