ギャラリーに戻る
洋館より庭園を望む

作品鑑賞

この静謐な木版画は、西洋風の洋館の繊細なベランダの枠を通して、穏やかな庭園の景色を見事に切り取っています。格子細工の柱や屋根の構造が緻密な線描で表現され、遠景の柔らかい自然のテクスチャーと鮮やかな対比を成しています。格子状のベランダの床が視線を外に誘導し、青く澄んだ水面と緑豊かな木々が静かな調和をもたらします。空は地平線付近の淡いパステルカラーから深い青へとグラデーションし、ふわりとした雲が浮かんでいます。

浮世絵の伝統技法を用いながら、建築と遠近法に西洋の影響が巧みに融合されています。構成は幾何学的なパターンと有機的な自然の形態を対比させ、心地よいリズムを生み出しています。限定的ながら効果的な色彩パレットは主に青と緑を基調に、温かみのあるクリーム色がアクセントとなり、静謐で思索的な気分を強調。これは20世紀初頭、日本の文化とモダニズムが調和した一瞬を捉えた、歴史的にも美術的にも意義深い作品です。

洋館より庭園を望む

川瀬 巴水

カテゴリー:

制作年:

1920

いいね:

0

サイズ:

2760 × 4000 px

ダウンロード:

関連作品

旅行札記Ⅲ(旅みやげ第三集)白馬山遠望朝日岳 1924年
旅行札記Ⅱ さぬきの高松城 1921
東京十二題 品川沖
ワシントン記念碑とポトマック川 1935年
旅行札記Ⅲ(大阪高津 1924年)
伊豆伊東松月院 1933年
旅行札記Ⅰ(旅みやげ第一集) 仙台山寺 1919年
朝鮮風景集 平壌牡丹台 18940年
旅行札記Ⅲ(旅みやげ第三集)秋田八郎泻
旅行札記Ⅰ(旅みやげ第一集)金沢 流之廓 1920