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作品鑑賞
この作品は、朝日の静けさを捉えた川辺の風景を描いています。二人の騎乗者が馬に乗り、静かに昇る太陽とその水面に映る鮮やかな赤い光を見つめています。画面の手前には力強く生き生きとした松の木があり、その幹や枝葉は丁寧な筆遣いで描かれ、生命感が伝わってきます。遠くには穏やかな川が広がり、背後の山並みや伝統的な城壁の門がシンプルな線と落ち着いた青灰色で表現されています。
伝統的な中国の水墨画技術と繊細な色彩が融合し、洗練されたシンプルさを保ちながらも深い静謐さを感じさせます。自然の緑やアースカラーを主とした柔らかな色調に、赤が効果的にアクセントとして使われ、朝の澄んだ空気と静けさを醸し出しています。左上の書は詩的な要素を添え、作品全体の内省的なムードをさらに深めています。この景色は唐代の詩人、杜甫の詩情と結びつき、遠くの地平線を見つめる騎乗者たちの静かな感情が伝わります。