ギャラリーに戻る
クロワ・ルージュ街道 1918年

作品鑑賞

この20世紀初頭の風景画は、陽光を浴びながら穏やかに伸びる田舎道を描いています。前景から遠方へとゆるやかに曲がる道は、まるで観る者を静かな田園風景へと誘っているようです。構図は日差しを受けた土の道と、それに沿って立ち並ぶ細長い木々の縦のラインが印象的な陰影を生み出しています。左側の黄金色の野原には羊たちが点在し、一頭の茶色い馬が草を食べている様子が、静謐な中にも生命の息吹を感じさせます。遠景には柔らかな青みがかった丘が広がり、淡い青空が作品全体に穏やかな色彩をもたらしています。

色彩は落ち着いたアーストーンを基調に、温かみのある緑や黄土色が中心です。空の淡い青色と細かな雲の線が、全体の調和と静けさを引き立てています。写実的でありながらどこか詩的なスタイライズが施され、鑑賞者に平和と安らぎの感覚を呼び起こします。第一次世界大戦終盤の1918年という時代背景を考えると、この穏やかな風景は混乱の中での安息や希望を象徴しているかもしれません。

クロワ・ルージュ街道 1918年

フェリックス・エドゥアール・ヴァロットン

カテゴリー:

制作年:

1918

いいね:

0

サイズ:

5230 × 3826 px
730 × 540 mm

ダウンロード: