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筥崎宮

作品鑑賞

この生き生きとした木版画は、重厚な石造灯籠を中心に据えた静かな海辺の風景を描いています。灯籠の石組みは灰色と青の様々な色調で丁寧に表現され、その存在感が画面全体を支配しています。背後に広がる穏やかな水面は、柔らかな層状の雲を映し出し、広大で落ち着いた蒼穹を感じさせます。右側には緑の傘を持つ着物姿の女性と子供がおり、厳かな環境に人間らしい温もりとスケールを添えています。

20世紀初頭の新版画の洗練された技術が光るこの作品は、光と影の繊細なバランスによって質感と深みが見事に表現されています。空と水面の色彩グラデーションが穏やかな調和を生み出し、自然の静けさの中に心をゆだねる情緒を感じさせます。この作品は、特定の日本の名所の永遠の美しさを称えるとともに、当時の日本の版画作風に見られる伝統と現代性の融合を象徴しています。

筥崎宮

川瀬 巴水

カテゴリー:

制作年:

1922

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サイズ:

2372 × 3200 px

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