この静かな風景は、鮮やかな緑の山々が画面を占め、その合間を深い青の川がゆったりと流れています。山のなだらかな稜線と密集した森林が、清らかに流れる水辺を優しく包み込み、空の青から白い雲へのグラデーションが穏やかな空気感を醸し出しています。木版画の繊細な技術が色の階調やテクスチャーに表れ、奥行きと調和のとれた構図がうかがえます。水の流れる音や風に揺れる葉のざわめきが聞こえてきそうな、自然との一体感を感じさせる一枚です。新版画運動に属するこの作品は、伝統的な浮世絵技術を現代的な自然描写で刷新し、日本の伝統美と近代感覚を見事に融合させています。