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霧の宮島 1947年

作品鑑賞

この静かな木版画は、水面に部分的に囲まれた神社の建物群を捉えており、遠くの木々をぼかし地平線を和らげる朝霧に包まれています。画家は淡いブルーと紅色の繊細なグラデーションを巧みに使い、夜明け前の穏やかな静けさを表現。赤く漆塗りされた木造建築は静かな水面にくっきりと映り込み、その力強い構造が作品の構図を支えています。微妙な陰影と光のやわらかな交錯が建築の細部と静謐な雰囲気を際立たせています。霧に霞む背景が空へと溶け込み、観る者に包み込むような静けさを感じさせます。

この作品からは平和で孤高な感覚が伝わってきます。精緻でありながら、霧の柔らかさが幻想的な質感を与えています。建物や手すりの力強い水平線と背景のぼんやりとした雲の形状との調和が、視線を穏やかに誘導。歴史的には1947年の戦後、伝統的な日本美術の復興期を反映しており、自然と遺産を通じて癒しと継続性を求める思いが込められています。この作品は浮世絵の特徴である自然の静けさと人の技術が融合した典型であり、時を超えた心の平穏と場所の精神を感じさせる作品です。

霧の宮島 1947年

川瀬 巴水

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制作年:

1947

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サイズ:

6282 × 4212 px

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