ギャラリーに戻る
自画像 1837年

作品鑑賞

この魅力的な肖像画は、画家自身の強い内省的なまなざしを捉えており、自信と脆さの絶妙なバランスを映し出しています。明暗対比の技法が巧みに用いられ、柔らかな光が顔を照らし、背景は暗く深みのある土色で溶け合い、時代を超えた幽玄な空気感を醸し出しています。筆触の質感が髪に生命力と動きを与え、それが滑らかな顔の表現やエレガントな衣服と対比を成しています。

構図は顔と肩を中心に、斜めの傾きを持たせてわずかな動きを感じさせつつも、厳かな雰囲気を損なわない巧みな配置です。控えめながら効果的な色彩の選択で、深い緑と黒の衣装が、皮膚の温かい琥珀色の光と対比しています。歴史的には、1830年代のロマン主義精神を体現し、感情と個人主義を重視するこの作品は、自己探求と技術的卓越への画家の熱意を強く伝えています。絵画はただの肖像ではなく、観る者との親密な対話を生み出し、静かな強さと深い謎を呼び起こします。

自画像 1837年

ウジェーヌ・ドラクロワ

カテゴリー:

制作年:

1837

いいね:

0

サイズ:

3014 × 3652 px
545 × 650 mm

ダウンロード: