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作品鑑賞
柔らかな夕暮れに包まれたこの作品は、流れるような緑と赤のローブをまとい、古い樹に寄り添って華麗に彫られたハープを抱える厳かな姿を描いています。聖なる光輪をまとい、見上げるその視線には敬虔さが漂い、鑑賞者を静かな精神の世界へと誘います。繊細な筆致と柔らかな色彩の移ろいが、夢のような雰囲気を醸し出し、地上と神聖が交錯する瞬間を感じさせます。
縦長の構図が印象的で、人物の敬虔さと隣の樹木の堂々たる存在感を際立たせています。落ち着いたアーストーンと微かな青や金色の対比が、時を超えた親密さをもたらし、19世紀末象徴主義の精神性と技術の高さを感じさせる作品です。