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作品鑑賞
この魅力的な木版画は、朝もやに包まれた伝統的な日本の城の静かな朝の風景を描いています。浮世絵特有の繊細で流れるような線によって、前景の裸木の枝がレースのように細かく表現されており、奥の城は霧の中からそっと現れています。暖かい茶色と冷たい青の微妙なグラデーションが、夜明けの柔らかな光と溶け合い、静かな水面はもやの雰囲気とひとつに溶け込んでいます。色彩は抑えめでありながら表現力豊かで、落ち着いた土色系とやさしいパステルカラーが静けさと内省的な気配を醸し出し、この早朝の静けさを感じさせます。