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作品鑑賞
この作品は、ポトマック川沿いの満開の桜の花と、その背後にそびえ立つワシントン記念碑を優しく描いています。構図は非常にバランスが取れており、淡いピンクの桜と深い青の水面が鮮やかなコントラストをなしている一方で、岸辺の石の道が画面に落ち着きと安定感を添えています。川岸のゆるやかな曲線が視線を記念碑の荘厳なシルエットへと導きます。川瀬巴水の繊細な空のグラデーションと水面への映り込みが調和し、静謐で穏やかな美しさを醸し出しています。
この作品は日本の浮世絵の技法を思わせ、西洋の歴史的ランドマークである記念碑と東洋の自然美が融合した調和の取れた景観を表現しています。桜は春の儚さを象徴し、記念碑は歴史の永続性を象徴しています。色彩は控えめながら鮮やかで、鑑賞者に一瞬の静けさを感じさせ、心が癒され懐かしさを覚える瞬間を提供しています。