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作品鑑賞
この作品は、伝統的な和室の中から見た静かな朝の風景を美しく切り取っています。構図は遠くの山々を柔らかなピンク色の朝焼けに染め、穏やかな水色の空に淡く漂う雲が配され、扉の木製格子がその景色を額縁のように囲んでいます。室内には湯沸し器や座布団が置かれ、日の出とともに目覚める穏やかなひとときを感じさせます。
浮世絵の伝統的な木版画技術が用いられており、繊細な線描と落ち着いた色彩。茶色や紫、淡い青とピンクの調和が静謐な雰囲気を高めています。内と外が一体となるような構図は心地よい静けさを醸し出し、1946年という戦後の時代背景も感じさせる、平和と自然への願いを秘めた作品です。