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作品鑑賞
この作品は、ヴェネツィアの象徴的なサンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂を、穏やかな霧に包まれ、壮大なドームと精緻な建築の細部を柔らかく描き出しています。アーティストは、点描技法を用い、小さく独立した筆触を淡いパステル調のパレットで組み合わせ、輝きを放っています。柔らかな緑、ラベンダー、ピンク、青が混じり合い、早朝や淡い陽の光に照らされたヴェネツィアの湖面の反射を思わせます。前景および左側の地平線には帆を張ったゴンドラが並び、荘厳な教会の静けさと対比してリズミカルな動きを添えています。
構図は静謐で夢幻的な雰囲気を生み出し、水と空が溶け合うかのように融合し、観る者を静かな瞑想へと誘います。この作品はヴェネツィアの建築の美しさを讃えるとともに、新印象派の革新的な技法を示し、色彩と光が感情の核を形成します。20世紀初頭のヨーロッパの科学と芸術の融合を探求した歴史的背景も感じさせ、知覚と自然の結びつきを想起させる詩的な作品です。