ギャラリーに戻る
牛堀 1930年

作品鑑賞

この作品は静かな夜空の下で繊細な雪がやさしく降り積もる風景を描いています。ひとりの人物が小舟を漕ぎ、穏やかな水面を静かに進んでいます。舟とその人物は冷たい青色を基調に、遠くの雪に覆われた民家から灯りが漏れ、夜の静けさを一層引き立てています。星々がそっと瞬き、水面に反射する光が、静謐さと穏やかさを感じさせます。

絵師は繊細な青や緑のグラデーションを巧みに用い、目にも心地よい調和のリズムを生み出しています。構図は舟を画面の端に寄せ、観る者を孤独で内省的な瞬間へと誘います。降りしきる雪は、小さな点描で軽やかに表現され、静けさを損なわずに画面に動きを与えています。この木版画は1930年代の日本の静かな冬の一瞬を見事に捉え、自然と孤独のなかにある平穏を深く感じさせる作品です。

牛堀 1930年

川瀬 巴水

カテゴリー:

制作年:

1930

いいね:

0

サイズ:

6435 × 4108 px

ダウンロード:

関連作品

旅行札記Ⅲ(旅みやげ第三集) 男鹿半島 龍ヶ島 1926
旅行札記Ⅱ(旅みやげ第二集) 雪の宮島 1928年
出雲国美保関海岸
北海道 大沼公園 1934
旅行札記Ⅲ(旅みやげ第三集)出雲 日乃御崎 1924
旅行札記Ⅰ(旅みやげ第一集) 陸奥の茨田沼 1919年
旅行札記Ⅱ 浜小屋(越中氷見) 1921