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朝鮮風景集 平壌牡丹台 18940年

作品鑑賞

この木版画は、しっとりとした雨の中、伝統的な東アジアの建築物が緑豊かな木々に囲まれて静かに佇む風景を描いています。雨粒が斜めに降り注ぐ様子が、画面に独特のリズムを与え、静寂をやわらげています。青と緑を基調にした色彩は、川面から木々の密生する岸辺へ、そして中央の紅色の柱を持つ堂々たる建物へと視線を誘導します。優雅な曲線を描く屋根が文化的な深みを感じさせ、奥に霞む山々が奥行きを生み、自然の包容力を表現しています。

木版技術の繊細な表現により、葉の質感や雨の細かな線、水面の滑らかさが巧みに描写され、しっとりとした雨の日の情景を醸し出しています。見る者は湿った土の香りや雨音までも感じ取れるようで、孤高の舟人が水面に漂う様子は静かな瞑想のひとときを誘います。この作品は19世紀末、朝鮮の風景を通じて異文化の美しさを映し出し、歴史的にも貴重な芸術的記録として価値があります。

朝鮮風景集 平壌牡丹台 18940年

川瀬 巴水

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制作年:

制作年不明

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サイズ:

4096 × 6032 px

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