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作品鑑賞
この生き生きとした描写には、荒々しい枝の生えた木に囲まれて斧を手にした三人の木こりが描かれています。中心人物は鮮やかな黄色のベストと暖かみのあるオレンジの上着を身にまとい、自信に満ちた姿勢で枝に腰掛け、片手に斧を高く掲げています。その決然とした視線は見る者を強く惹きつけ、力強く働く人間の存在感を伝えています。傍らにはシャツを脱いだ少年と控えめな色合いの服装の人物が、労働のリズムと自然との結びつきを感じさせる情景に加わっています。背景には静かな青空の下、山々が描かれ、活気ある前景の人物たちとの対比が印象的です。
この作品は、質感豊かな土色のパレットと巧妙な明暗法によって、筋肉質の身体や樹皮の粗さが立体的に表現されています。枝の斜めの構図は視線を上方に誘導しつつ、人物の最位置をしっかりと固定し、躍動感ある動きを作り出しています。ゴヤの筆致は刷毛目を重ね、自然光の表現で劇的な雰囲気とリアリズムを見事に融合。感情的には、労働者のたくましさと連帯感が響き、18世紀後半の啓蒙主義の価値観である勤勉と自然との共生、日常の勤労の尊さを思い起こさせます。労働を英雄的な営みとして讃えるこの作品は、その時代の社会と芸術の橋渡しをしています。